あなたの知らない東洋医学|中医学を超えたペット鍼灸の新たな可能性

あなたの知らない東洋医学|中医学を超えたペット鍼灸の新たな可能性 ビジネスアイデアとイノベーション戦略

「なんじゃ、こりゃ!」

これが私の第一声でした。そしてこの経験が、私を中医学ではなく、日本で約1000年醸成されてきた東洋医学の深みに引き込むことになったのです。

私が東洋医学にのめり込んだ理由

大学時代に武術を始めた私は、筋力や柔軟性だけでは到達できない心身のコントロールという未知の世界に触れました。結果として私は武術の上達のために、それまで数年間続けていた筋肉トレーニングを辞めるという選択をすることになりました。

その体験は、解剖学や生理学という既存の学問では説明しきれない身体観や健康観を探る旅の始まりでした。そして、その探究の果てに出会ったのが東洋医学だったのです。

あるとき飼い主さんに尋ねられました。

「先生は獣医師なのに、なぜ鍼灸を始めたのですか?」

その問いに、私はこう答えました。

「自分と相手との一体感を感じてしまったんです。」

その飼い主さんの返答が忘れられません。

「行くところまで行ってしまったのですね(笑)」

実はそこはゴールではなく、本当はスタートラインだったのです。

「なんじゃ、こりゃ!」のワケ

獣医師の資格を取得して数年経った後、私は鍼灸やマッサージの国家資格取得を目指す専門学校に改めて入学しました。

その学校で待っていたのが、中医学とは歴史も考え方も異なる東洋医学との出会いでした。

特に私が関心を持ったのは、五臓のエネルギー不足(虚)を体調不良の根幹とする約1000年の歴史を持つ日本古来の東洋医学の考え方でした。その考え方で自分自身の体調を確認し、ツボを選び、鍼をしたところ、筋肉やリンパを整えるマッサージとも全く異なる気持ち良さが私を襲ったのです。

そのときに出たのが「なんじゃ、こりゃ!」の一声でした。

全身がリラックスして、睡眠に引き摺り込まれるような気持ち良さは以来20年以上経ちますが、鍼灸以外で実感したことはありません。

人と条件が異なるため、ペットにおこなうのは簡単ではないのですが、その気持ち良さを犬猫さんにも感じてもらうことが、私の目標の一つになりました。

動物医療の課題|慢性疾患と疼痛管理の壁

現代の動物医療における最大の課題の一つが、慢性疾患や疼痛管理です。特に高齢動物や慢性的な疾患を抱えるペットの場合、薬物治療が一般的ですが、長期間の使用による副作用や治療効果の限界が悩みの種となります。

例えば、椎間板疾患や関節炎を抱える犬や猫に薬物治療を続けた結果、肝臓や腎臓への負担が増加し、生活の質がかえって低下するケースも少なくありません。

そんな中、東洋医学、とりわけ鍼灸の可能性が改めて注目されています。直接的な症状の改善だけではなく、動物の自然治癒力を引き出し、心身全体のバランスを整えるアプローチは、薬物治療では得られない新たな価値を提供します。

ペット鍼灸の可能性|中医学を超えた日本的アプローチ

中医学と東洋医学は、しばしば同一視されがちですが、実は異なる特徴を持っています。特に日本で発展してきた東洋医学は、繊細で個々の状態に合わせた治療が特徴です。

ペット鍼灸の場合、人間のような細かな脈診は難しい部分がありますが、視覚的な観察や飼い主さからの詳細な情報と、触診を基に適切なツボを見極めます。

特に以下のようなケースで効果が期待されています:

  • 腰椎椎間板ヘルニア:特にグレード4までの痛みの軽減、神経機能の回復、再発予防。
  • 疼痛性傷病の症状緩和:腰痛や前肢・後肢等の疼痛の緩和と再発予防。
  • 慢性疾患の生活の質維持向上:慢性腎不全や変性性脊髄症などの点滴や投薬以外のケア。
  • シニアペットの体調管理:体力が低下する前の免疫力の向上と、老化に伴う不調の予防。

例えば、腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けた後肢麻痺が見られるダックスフント等の犬に鍼灸を施したところ、手術なしで数週間から数ヶ月で歩行可能な状態にまで回復したケースは少なくありません。

このような実績が示すように、ペット鍼灸は慢性疾患や生活の質向上の新たな道を開く可能性を秘めています。

ペット鍼灸が生む新たな絆

鍼灸は、動物と飼い主、そして獣医師との間に新たな絆を生み出します。

特に非侵襲的な治療法として、飼い主の安心感を得やすく、治療への協力も得られやすいのが特徴です。

「鍼灸なんて可哀そう〜」と涙を流していた猫の飼い主さんが、数回受けてすっかり慣れてしまった猫さんを見て「あのとき涙流して、私バカみたい」と溢していたのは今ではすっかり笑い話です。

鍼灸中は飼い主さんに動物さんを支えるお手伝いをしてもらうことも可能です。そのため鍼灸を取り入れることで、動物の体調改善だけでなく、会話の中で飼い主さんが自身のペットをより深く理解するきっかけ作りにもなります。

また治療の過程でペットが穏やかになり、飼い主さん自身も心が癒されるという相乗効果も期待できます。

東洋医学で見る新たな未来

動物医療において、ペット鍼灸は単なる治療法以上のものです。それは、動物の健康を包括的に捉え、飼い主や獣医師が新たな視点を得るためのカギとなり得ます。

もしあなたが、慢性疾患や疼痛管理の限界を感じているのなら、ペット鍼灸を学ぶことで新たな道を開けるかも知れません。

ペット鍼灸についてさらに深く学びたいと感じたら、「ペット鍼灸スペシャリスト養成講座」をチェックしてみてください。

あなたの新たな挑戦がペットと飼い主さん、そして動物医療全体に新たな希望をもたらすと信じています。

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