ありがたいことに「面白かった!」というご感想をいただく機会が増えました。
鍼灸院ご利用後の感想として適切かどうかはともかく、私としては素直に嬉しいのです。
武術をきっかけに私が本格的に身体について研究するようになって三十年あまり。
稽古で得られた身体や動きへの気づきは、獣医師が鍼灸師になってしまうくらいには衝撃でした。
自分が感じる面白さを伝える方法
この私が感じている面白さをどのようにお伝えするか、ご理解いただくのか。
経験がない方に伝わりにくいことは百も承知です。
イヤな顔をされたことも笑われたこともあります。
私の試行錯誤はここがスタートです。
肝心なことは、身体が感じていることや動きのクォリティというものは言語化しにくいということ。
これは感情を文章化しにくいのと同じ意味合いですね。
私の試行錯誤のプロセス
まず私がやったのは、稽古の内容を十年後に見返しても7〜8割くらいの精度で再現できるくらいのノートを取ること。
参考文献を全てノートにまとめること。
さらにそれらの重要事項をまとめた解説文を書いたことも、小冊子を作成したこともあります。
今思うと、理系の文章でした。
自分が伝えたいことを伝えようという気持ちが先走りし過ぎて、そして理解してもらうことに意識が行き過ぎて、読んで「面白い」文章ではなかったと思います。
それでも身体の感覚や意識を取り上げた内容にしては、理解できる文章だったと今でも自負しています。
関心をお持ちの方は個別にお問合せくださいね(笑)
ここまでで十年や二十年は経っています。
そして。
たった三秒の重要性
「3秒で伝わらないことは人は興味を持たないよ」
という言葉をいただくのです。
正直、私は絶望しました。
なぜならここまで何十年もかけて、人生をかけて積み重ねてきた知識や経験を大切にしたい想いがあったからです。
これまで言葉を費やしても伝わらなかったことを「3秒で」なんて気の遠くなるような道のりです。
でも、本当にそうでしょうか?
何を伝えるかではなく何を伝えないか
本当に3秒で伝えることは不可能でしょうか?
私はようやくそこに至ることができました。
まずは自分が伝えたい内容をできるだけブレインストーミングします。
多くの場合、私は自問自答を繰り返しながらマインドマップを作成していきます。
自分の中から生み出された想いの中から、伝えたい人に伝えたい内容を選んでいきます。
そして徹底的に削ぎ落とします。何を伝えるかではなく、何を伝えないかに重点を置いていくのです。
その上で伝えたい人に届きやすい表現に換えていきます。
涙が出る理由
結構しんどい作業です。時間もかかります。
そんなことを何十回も何百回も繰り返して、ようやく得られた患者さんからの「面白かった」というフィードバックです。
積み重ねとブラッシュアップを三十年かかって得られた到達地点です。
これまでの積み重ねと試行錯誤を思い返すからこそ「面白かった」という感想は涙が出てしまうくらいに嬉しいのです。
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