あなたにもできる収益を向上させる方法 |ワクワク院経営のアイデア集

ビジネスアイデアとイノベーション戦略

「あなたはなぜ院の経営をしているのですか?」

そのように問いかけられた場合、あなたはどのように答えるでしょうか?

  • 動物が好きだから
  • 患者さんや飼い主さんの笑顔が見たいから
  • 自分にとっての生きがいだから

こんな風にお答えになる方が少なくないんですね。

そしてこれらは院の経営のモチベーションとしてとても大きな力を持っている。とても大切な理由だということにもちろん異存はありません。

鍼灸整骨院やペットの訪問鍼灸院を経営している私自身もそのような思いは強く持っています。

それを前提として、それでも敢えてもう一つ考えて欲しいことがあります。

一番大切なのは誰?

それは「あなたが一番大切にしているのは誰ですか?」ということ。

  • 患者さんでしょうか?
  • 飼い主さんでしょうか?
  • 家族でしょうか?
  • 自分自身でしょうか?

意外にも、収益の向上を考えるのであれば「大切にしているのは誰か」という問いに一度あなたなりの答えを出しておくことがとても大切なのです。

恥ずかしながら、このことに気づかせてもらったのは私自身ここ数年のこと。

恐らく、動物病院や鍼灸院などの院を経営していらっしゃる方の中には私のように考える方の割合が相対的に高いものと思います。

つまり知識や技術の習得を大事にして、自分よりも患者さんを大事にしてしまう。そういう方々が比較的多いと感じています。

もちろん患者さんを大事にするのはとても大切なことです。でも優先順位がどうなっているのかを自覚することもとても重要なのです。

そこで参考までに私自身を振り返ってみたいと思います。

習得した知識や技術を患者さんのために

元々は知識・技術の習得や自分自身の上達が自分の中で第一義でした。そして自分が習得した知識や技術を人のために多くの患者さんのために活用することが一番大切だとそう信じていました。

自分が習得した知識や技術を多くの患者さんに利用していただくためには、無料とは言えなくても、できるだけ安価で施術やサービスを提供することが良いことなのだと考えていたんですね。

だから独立前に当時の上司にサービスに付加価値を付けて価格を上げることを示唆されたときは内心で反発もしました。

そのとき上司に言われたことの一つは「我々はスタッフやその家族に対して責任を負っている。だから売上を上げる義務がある」ということでした。

言葉の意味は痛いほどよく分かります。でも当時の私に刺さる理由ではありませんでした。

安価に提供することの功罪

そんな私ですから二十代後半には海外でのボランティア活動に参加したことがあります。当時の私が感じていたのは「ただ『途上国の人のために』という考えでは傲慢な気がする」という漠然とした想いでした。そうではなくどこかに「自分のため」という軸を感じながら活動をして来た自負があります。

しかし一方で考えなくてはいけないこともあります。それは「無料または安価で提供することが本当に相手のためになっているのか?」という問いかけです。

口幅ったいようですが、私は獣医師を含む五つの医療系国家資格を持って知識と経験を磨き続けて来ました。加えて少なく見積もって三十年以上一日も休まず古流の武術と重心バランスを含めた身体コントロールを習得すべく稽古を積み重ねてきた自負があります。

そんな私自身を振り返ってみたとき、確かに自分は、興味を持ったことを自分が楽しいと思うままに学び、磨き、積み重ねて来ました。現在はそれを活用して患者さんを診ている。ただそれだけ、という言い方もできます。

しかしそれでも数十年という時間の積み重ねは一口で言い切れるほど簡単なものではありません。楽しんできたからこそ誰よりも真剣に習得に励んできた知識や技術です。

これまでこんなことがありました。

想いが届かないときに気づいたこと

それは無料や安価でサービスや情報を提供していたとき、自分が数十年かけて、それこそ命懸けで学んできたことを真剣に患者さんに伝えてもほとんどの患者さんは耳を貸してくれることはなかったという事実です。安いことに喜んでいただけても、私が伝えたい内容は受け取ってすらいただけない。

当時の私はその理由を必死になって考えました。その一つは以下のような理由でした。

それは無料や安価なサービスでは、患者さんは価格に見合った内容しか期待してないからという理由です。どれほどこちらが思いを込めて伝えても、身構えや心構えができていない患者さんには届くことはありません。

どれだけ必死になって学び、習得し、伝えようとゼロからカリキュラムまで作成したとしても相手に届かない情報はないに等しいではないですか。

そこで初めて私は疑問を抱きました。

「自分は必要としてくれる人に必要なサービスや情報を提供できているのか? このままで自分のモチベーションが維持できるのか? 自分は本当にこれで満足なのか?」

何か自分が間違っているのではないか。ようやくそこに思いが至ったのです。

安価での提供と、相手の尊厳と

これまで、自分が死ぬ気で学び習得してきた技術や知識を、良かれと思って無料や安価で提供していました。しかしそれではそのサービスや情報に込められた思いは誰にも届いていませんでした。

良かれと思ってやっていたことは、患者さんのためはおろか、自分のための自己満足にすらなっていなかったのです。

海外ボランティアしかり、動物病院や鍼灸院などでもしかり。

私が、無料もしくは安価で情報やサービスを提供することは実は必ずしも途上国の方々や患者さんの役には立っていなかったのかも知れない。

場合によっては相手の人々の尊厳を奪う行為ですらあったかも知れない。必死にやっていただけなので、もちろんそうは思いたくありませんが。

自分が本気で伝えたいことがあるなら、相手にはその思いが届きやすいような身構え心構えを準備してもらう必要があるのではないか。そのために必要なのは何なのか。

ようやくそう考え始めることができたのです。

そのように考えたときに、もう一つ頭に浮かんだことがあります。

自分を大切にすることとお金が表現する価値

それが「自分が一番大切にしているのは誰だろう?」という問いでした。

改めて考えてみると、自分は誰のために何のためにサービスや情報の提供をしているのだろう?

これまでの自分のやり方では、途上国の人々のためにも、患者さんのためにもならず、ましてや自分のためにもなっていない。。。

だからこそ、ここでもう一度この問いに戻る必要があったんですね。

  • 自分が誰を一番大切にしているのか?
  • 自分がどうしても伝えたい大切な思いは何なのか?

改めて、この部分を振り返ることで見えて来たこと。それは、自分自身を大切にすることがやっぱり一番大事だということです。

自分が表現したいことを伝えられないのならワクワクすることもないでしょう。そしてお金というのはポジティブ面だけでなくネガティブ面があったとしても一番公平に価値を表現できるツールです。

自分を大切にできないということは、自分の価値を認められてないということ。

自分ですら価値を認められない私自身に、人はお金を払いたくなると思いますか?

ようやくここでお金の話が出て来ました。お金というツールを使って、自分自身に価値を見出し、自分を大切にしていることを表現していくのが重要なんですね。

私は、どうしても「人に施してあげることが良いこと」という思考になりがちだったんです。そうではなく自分自身の価値を自覚し、自分が伝えたい想いを患者さんやサービスの利用者さんに受け取ってもらいやすい環境づくり。そうすることで初めて自分も患者さんも大切にできる。

その部分を見直していくことが必要だったということですね。

というところまでご理解いただいたところでこの記事の本題です。

ディスカウントして収益を向上させる方法

動物病院や鍼灸院などで収益を考える場合二つの柱が必要になります。

一本目の柱は売上を上げること、もう一本は経費を削減することです。

今回は売上を中心に、めちゃくちゃシンプルに考えてみます。

売上=単価×患者さんの数(顧客数)

と考えると、売上を増加させるためには、単価を上げるか患者さんの数を多くするか、もしくは両方かという選択になるわけです。

例えばディスカウントショップのようなビジネスモデルでは、単価を下げつつ顧客数を増やすことで売上を増やすことが目標になります。これは一人あたりの治療や施術の時間を短くして1回あたりの単価を下げて患者さんの数を増やそうとする院経営のモデルが近いということになりますね。

質を上げて収益を向上させる方法

逆に単価を高くするという戦略も考えられます。特に院の経営者の中には単純に単価を上げることを考えると罪悪感のようなものを感じられる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、単価を上げることで一人当たりの患者さんに裂ける時間が長くなると考えたらどうでしょう。

お一人の患者さんのお話をゆっくり聞けて、じっくり時間をかけて施術ができるのであれば、1回あたりの施術料金が多少高くても受けていただけるかも知れません。そのように考えれば、単価を上げることが必ずしも悪い感情につながるものではないということがお分かりいただけると思います。

大事なことは、どのような患者さんにご来院いただきたいかという、院の経営者であるあなたの考え方です。

安い価格だけを重視したい患者さんなのか、あなたの考えを理解した上でゆっくり話をして丁寧に施術をして欲しいとお考えの患者さんなのか。

院の経営者であるご自分が患者さんにお伝えしたい想いは何なのか。

ご自分は、もしくは自分たちの院にはどのような患者さんで溢れて欲しいのか。

そのためにはその患者さんに何をどのように伝えれば良いのか?

まずはそこをしっかりと煮詰めて考えてみてくださいね。

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